シンプルなノイズ対策ペダル
NF-1 Noise Gateは音を変えるのではなく、ノイズを除去するノイズリダクションペダルです。
BOSSコンパクトエフェクターとしてはかなり初期のモデルで、OD-1から数えて8機種目。他のエフェクターが一通りそろったのでそろそろ、ということで開発に臨んだモデルです。
その特性上かなりの地味系ペダルながら、その効果と同じくらいじみ~に売れ続けたようです。
ノイズゲートとは?
ノイズゲートは、ハムノイズなどあらゆるノイズを消し去るためのエフェクターです。
どちらかといえばエフェクターというよりもノイズフィルターってところ。実際型番もノイズフィルターを略したNFとなっています。
ノイズゲートであれば本来NGとなるべきところを、よくないって意味のNGと同じでイメージが悪いのでノイズフィルターのNFとなりました。
元々原音には影響を与えてはいけないペダルなので、普通に使っても効果がわからないため、社内の検討会ではディストーションペダルをつないで使用したそう。
これ以降、効果が地味でわかりにくいペダルを社内で試したり披露するときには、ディストーションをかけるのが慣例になったそう。
EH-2 エンハンサー辺りは使ったんでしょうね……
NF-1 ノイズゲートの使い方
本機ノイズゲートはSENS(センス)ツマミとDECAY(ディケイ)ツマミだけのシンプルな構成ですが、その効果がきちんとわかっていないと使うことができません。
簡単に言ってしまえば、まずSENSツマミはノイズの大きさに合わせて設定するツマミで、ノイズが大きいほど左側に、小さいほど右側に設定します。
次にDECAYツマミは、音の減衰部分が不自然にならないように調整するツマミです。
本機NF-1に限らず当時のノイズゲートはまだまだ技術的にも回路的にも未熟。
特に音とノイズの判別をしているわけではなく、ノイズくらいの大きさの信号は全て切り捨てる、という回路になっています。
そのため、この方式だと音を伸ばした際にの消え際が際スパって切られてしまうため、サステイン、というかリリース(音の減衰部分)が不自然になっちゃうんですよね。
さすがにBOSS、その辺りを考慮してDECAYツマミがあるんですけど、やはり限界があります。
ノイズゲートを使った ゲートリバーブテクニック
先述の一定レベル以下の音がブッツリ切られてしまう問題は音の減衰部分だけでなくリバーブの余韻にも影響を与えます。
ご存じの通りリバーブは原音に残響音を加えるエフェクト。
リバーブの残響音にノイズゲートがかかっていると、減衰したある時点で音がブッツリと切れてしまうのです。
誤作動と言えば誤作動ですが、このブッツリとしたキレのある独特なサウンドもなかなか面白く、ゲートリバーブという一種のリバーブサウンドとして確立されました。
その後、BOSSが世界初のコンパクトエフェクターとして出したデジタルリバーブペダルRV-2にも、このゲートリバーブが搭載されています。
NF-1 ハーモニスト レビュー・総評
ノイズを消すエフェクターとしては、BOSS内でも本機HF-1の後継機種としてNS-2 Noise Suppressorが出ています。
こちらはただ音の信号の大きさだけではなく、程度サウンドとノイズとを判断してノイズを消す独自の回路が入っており、ノイズ除去系のペダルとしてはかなり優秀。
率直なところ、本機NF-1はノイズゲートとしてかなり古いですし、何か回路的なところで狙いがあるのでもなければ、今更探し出して導入するのは無意味でしょう。
しかしながら本機ノイズゲートはBOSSコンパクトエフェクター初期のペダル。
実用性はともかく、2つツマミのフェイスに銀ネジ&日本製とコレクションアイテムとしてはなかなか魅力的なペダルです。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 1979年2月~1988年5月
- 製造国
- 日本製
- コントロール
- DECAY、SENS
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT、ACアダプター
- 消費電流
- 3.9mA
- 対応アダプター
- ACA-100