ディレイまでついたBOSSコン初のピッチシフターペダル PS-2
本機PS-2 Digital Pitch Shifter / Delayは、BOSSコンパクトエフェクターとしては初めてのデジタルピッチシフターペダルです。
ピッチシフター可能な範囲は上下1オクターブと今で考えると大分物足りない感じですが、初のモデルですでにデジタルディレイ機能まで付属した豪華仕様。
しかもこのデジタルディレイが最短30msから最長2000ms(2秒)のディレイタイムを誇り、さり気なく同時期に現行品だったデジタルディレイペダルDD-3 Digital Delayの最長800msよりも長いという、面白い事態になっています。
BOSSコン初の2階建て基板
PS-2を出す頃、BOSSは当時注力していたマイクロラックシリーズでピッチシフターを造るためにカスタムICを造っていました。
その時にはもうカスタムICがたまたまBOSSの筐体の幅と一緒だったためコンパクトエフェクター化されたデジタルディレイ DD-2の例があったので、最初からコンパクトエフェクター化も念頭にあったとか。
しかしながらこの時はまだ1980年代で、まだまだパーツの小型化が進んでいない時代。
さすがにピッチシフターの上にディレイまで組み込んだ基板を製作してコンパクトエフェクターの筐体の中に収めるのにかなりの苦労があったようです。
これまでのBOSSコンは基板一枚で済んでいたものが、本機PS-2で初めて基板を2枚入れ、上下2階建ての構造になることに。
それでもどうしてもコンデンサーが一つ入らなかったらしく、基板上ではなく空いたスペースに宙ぶらりんになっているそう。もちろんコンデンサーの足にチューブを被せてショート対策はキチンとしているようなんですけどね。
実は管理人自身は本機PS-2は持っていませんが一度だけ実機をいじったことはあるんですよ。もちろん、音出しよりも先に開けてみましたよね。裏パネ。
なかなかの壮観で、ぜひみなさんにも一度ご覧いただきたいところです。
BOSSコンの裏パネを開ける時の注意点!
ただし、本機PS-2に限らず2階建て基板のBOSSコンを開けてみる時は一つ注意点があります。
結構ギッチギッチなため、一度引っ張り出してなかなかしまえなくなる場合があります。
また、こういった遅延素子やこういったデジタル系のペダルに使われるICなどは非常にデリケートで、静電気に弱い性質があります。
パーツはもちろん、はんだ面に触るだけでも壊れてしまうなんてこともあり得ますので、触れる時は注意しましょう。
ここでBOSSコンの専用筐体が活きてきましたね。MXRで使われるような汎用アルミキャストではこんな芸当はできませんから。
Digital Pitch Shifter / Delay PS-2 レビュー・総評
本機PS-2はBOSSコン初のピッチシフターで、更に初の2階建て基板とコレクションアイテムとしてはなかなか面白い一面を持つモデルです。
ああしかし、デジタル機の宿命。
ピッチシフターとしてはやはり後継機種の方が断然優秀なんですよ。
デジタル技術の進歩でピッチの検出も早くなっていきますし、ピッチを変えられるオクターブ範囲も広くなっています。
発売当時はピッチシフターなんてデジタルディレイペダルであるDD-3よりもディレイタイムが長く、まだ使い手もあったのでしょうが…
実戦的に使う分には本機PS-2では色々と物足りないでしょう。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 1987年10月~1994年3月
- 製造国
- 日本製
- コントロール
- BALANCE、MANUAL、F.BACK、MODE、FINE
- MODE
- DELAY、PITCH SHIFT
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT、TUNER OUT、ACアダプター
- 消費電流
- 60mA
- 対応アダプター
- PSA-100