高音質・多機能化を推し進めた進化系デジタルディレイ
DD-5 Digital Delayは新たに多彩なディレイモードを追加し、非常に多機能に仕上がったデジタルディレイペダルです。
同名ペダルのDD-3に新たなディレイモードを追加し、更にディレイタイムを2000 ms(2秒)まで長くしています。
またAF方式のA/Dコンバーターを採用し、20bit相当の高音質化を実現。パワーアップにより人気を見せる、と見えましたが…
DD-5の最大の特徴・DD-3との違いは多彩なモードによる多機能さ
上記の通り高音質化とディレイタイムの延長によりディレイとしての総合的に強化されました。
実際、DD-5のディレイタイムは1 ms ~ 2000 ms。
2000 msのロングディレイだけでなく最短1 msというかなりのショートディレイも可能。
ショートディレイは音のタイミングが微妙にずれることで同じフレーズを2本のギターで弾いているダブリング効果を生み、音に厚みを出す常套手段。
このように何気によく使われるショートディレイも強化され、単純なデジタルディレイとしての実力もDD-3よりも強化されています。
(DD-3のディレイタイムは12.5 ms ~ 800 ms)
が、DD-5の最大の特徴であり、前身機種であるDD-3との最も大きな違いはモードの多彩さにあると言えるでしょう。
シンプルなDD-3と違い、本機DD-5は
- ディレイ音を逆再生するリバースディレイモード
- ディレイ音を繰り返すリズムをペダルを踏んだテンポで決めるテンポモード
- パンニングアウトによるパンニング or ダイレクト音 & エフェクト音のステレオ出力
などの新機能も追加されているのです。
DD-5とDD-3の併売
本機DD-5は前身機種であるDD-3と併売となりました。
実は同じシリーズ(型式)の中で前の機種と最新機種が併売されるのは結構珍しいことで、他には復刻されたDS-1など、例はそう多くありません。
というのもDD-3自体が初のコンパクトサイズデジタルディレイである名機DD-2ほぼそのまんまなのは公然の事実。
これ、公然の事実なんですよね。(なぜそんなことになったか、詳しくは下記DD-3の記事をご覧になってください)
- 名機であるDD-2のクローンともいえるDD-3は定番として人気があった。
- 多機能モデルの本機DD-5とは違いディレイとしてDD-3はシンプルで棲み分けができていた。
DD-3廃番にならず並行して販売されることになったのはこれらの事情が関連しているのでしょう。
またデジタルディレイは販売価格が高価になりがちなため、DD-3は高機能・多機能な最新機種に対する廉価版としての存在意義が確立されたことも大きいかと。
そして結論から言いますと、本機DD-5よりもDD-3の方が人気があったようで……
DD-5は90年代のBOSS特有の詰め込み感がちょっと裏目に出たというか、早すぎたような感は否めません。
まずわかりづらいんですよね。モードスイッチとその下のモード対応表の表記が。
そこを反省してか、本機DD-5の後継機種である同名のDigital Delay DD-6は本機DD-5の多機能さは引き継ぎながらもDD-3ライクなルックスに。
DD-6もDD-3と併売でしたが、それなりに人気を博しました。
DD-5 デジタルディレイ レビュー・総評
本機DD-5、残念ながら今となってはディレイペダルとしては中途半端。
結局こういうデジタルものって後継機種の方がディレイタイムも伸びますし、色々と多機能になっていきますから、可能であれば最新機種(※)であるDD-7を買うのがベター。(※2015年現時点)
反対にシンプルなもので良いのであれば、名機DD-2の血を引くDD-3は今でも現役。
残念ながら、中古ですごく安く手に入るのでもなければ、本機DD-5を今更購入する意義はあまりないでしょう。
悲しいかな、これがデジタル機の宿命ですね。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 1995年3月~2002年9月
- 製造国
- 台湾製
- コントロール
- E.LEVEL、F.BACK、D.TIME、MODE
- MODE
- REVERSE、HOLD、DELAY、EXP、TEMPO
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT(MONO)、ACアダプター
- 消費電流
- 65mA
- 対応アダプター
- PSA-100