まさかのMT-2 Metal Zoneが技クラフト化されました。BD-2 BluesDriverが出た時点でなんとなくそんな予感はありましたが……
いい音も悪い音もわからず、そもそも音が潰れてることすら気づかない初心者ギタリストが、だんだんゲインを絞って洗練されていくように。
メタゾーもまた成長して一皮むけた。甥っこの成長を見守るおじさんのような気分です。
子どもから大人に成長したメタゾーって感じ
機能面・サウンド面ともに順当な技クラフト化。通常版MT-2本来の音をベースにしたスタンダードモードに加え、新サウンドのカスタムモードの搭載。
くわえてディスクリート回路化によるサウンドのハイファイ化。後述しますが、スタンダードモードも含めて全体的に音がよくなったと感じられます。
そしてメイドインジャパン。日本製です。
ディスクリートとは抵抗やコンデンサ、トランジスタなどが細かいパーツを小さなチップの中にまとめてある集積回路(IC)を使わず、ひとつひとつの回路を必要なパーツだけで構成した回路です。
ハイファイなサウンドに仕上がるメリットがある一方、本来ICひとつで済むところに複数のパーツが必要になるため設計や組み込みコストが高くなるデメリットもあります。
MT-2W 技クラフト メタルゾーンのサウンド
ベースモデル本来のサウンドをベースにしているスタンダードモードでも通常版のMT-2に比べ音が圧があり、倍音やひずみが全体的にリッチになっているように感じます。
さすがディスクリート。中音域が豊かなのかな。私のナローレンジ耳が低音域と高音域を認識できてないだけかもですけど、特に中音域に若干の特徴があるような。
とはいえ、ベース機であるMT-2とサウンドの方向性に大きな違いはありません。
ハイゲインに設定すれば意味でギターの個性を潰してくれるメタゾーサウンドから非メタルなディストーションサウンドまで幅広く使える「 これぞメタゾー 」感は変わらず。
メタゾー感を緩和してくれるカスタムモード
スタンダードモードや通常版MT-2はどうしても音が潰れちゃう領域がありました。
BOSSのディストーションらしくコンプレッション感の強いサウンドで、特にゲインを上げるともこもこした潰れた感じがどうしても出てしまうんです。
MT-2Wのカスタムモードでは全体的にレンジが広がり、メタルゾーンの個性は活かしつつもよりいまどきのディストーションサウンドにも対応できるようになった感じ。
歪みはより深い低音まで対応し、ローダウンチューニングにも問題なく使えます。メタゾーが出たころに比べれば多弦ギターの弦も増えてるし、これは実用性の高いうれしいカスタマイズですね。
もともと、High / Mid / Lowの3バンドイコライザーと非メタルディストーションからメタルまでいける広いゲイン範囲を持ち音作りの幅がめちゃくちゃ広かったメタゾーのサウンドバリエーションがさらに倍に。
通常版のMT-2に増して一台持っとけばかなりいろいろな歪みサウンドに対応可能な優秀な歪みペダルに仕上がっています。
MT-3ではなくMT-2Wなところに……
MT-2が技クラフトとしてセルフモディファイされたところに、もう後継機種としてのMT-3は出さない流れがみえているように思えます。
もしMT-3を出す気があるならMT-2廃番 → MT-3発売 → しばらくしてMT-2W発売って流れが順当ですから。
この流れならMT-3がコケてもカバーできるし、なんならMT-3をデジタルでディストーションで出すなど思い切ったこともできたはず。
実質MT-3ともいえるMT-2W(のカスタムモード)が登場した以上、MT-3の登場はかなり遠のいたと考えていいでしょう。
もし出すにしてもいまさらBOSSがアナログの新作ペダルを出すとは考えにくい。となるとデジタルになるかもですが、そうなるとML-2 Metal Coreのラインもありますし。
そういえばこの辺の事情、BD-2WとBD-3Wも一緒だなぁ。
MT-2W 総評・レビュー
そりゃあいいですよ。悪いワケないですよね。だってBOSS史上2番目に売れたディストーションペダルをBOSSが本気で手直ししたんですから。
(※1位はDS-1 Distortion)
メタルディストーションはBOSSが開祖みたいなものなのに、近年増えまくったメタルディストーションブームにイマイチ乗り切れていなかったBOSS。そのBOSSがようやく本気出した、って感じです。
ちょっと遅かった感はあるといえ、いまやメタルブームも落ち着いてメタルディストーションの需要は「 メタル 」よりも「 メタルサウンド 」に移りつつあると思うんですよね。
そこにメタルの名を冠しつつも広い音作りの幅を持つMT-2を技クラフト化で持ってくるとはさすがBOSSって感じ。
メタルそのもの道を往く方に単にメタルサウンドを欲するギタリストにも、選択肢のひとつとして強く推したい名メタルディストーションペダルです。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 2018年10月19日~現行品
- 製造国
- 日本製
- コントロール
- LEVEL、MIDDLE、MID FREQ、LOW、HIGH、DIST
- MODE
- S(スタンダード)、C(カスタム)
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT、ACアダプター
- 消費電流
- 35mA
- 対応アダプター
- PSA-100