DM-3 Delay(アナログディレイ)

DM-3 Delay(アナログディレイ)

アナログディレイ名機の後継機種 DM-3

BOSS DM-3 Delay ディレイ

DM-3 DelayはBOSS アナログディレイの名機 DM-2 Delayの後継機種として1984年に登場しました。

後述しますが、実は回路自体はそう大きくは変わっていません。

しかし残念ながらデジタルディレイの名機DD-2と競合するハメになり、また前身機種がアナログディレイ名機DM-2であったこともあって、DM-3自身はさほど人気を得られず。

ちなみに、DM-3は3つツマミのVの字のレイアウトですが、普段使われていないタイプのノブが採用されました。

しかしこれがあまりウケがよくなかったようで、結局今後このノブが他の機種に使われることはありませんでした。

個人的にはラックとかオーディオ系のツマミっぽくてデザインとして悪くないと思うのですが…

やはり3つツマミだといつも使われているツマミでないとBOSSらしくないと思われてしまうのかもしれません。

そういうわけで、BOSSコンパクトエフェクターでこのタイプのノブが使用されたのはDM-3のみ

(でもたまに似たようなノブがついているCE-2Bを見かけるんですけどね…なんなんだろう)

コレクションする上では重視したいポイントです。

DM-2とDM-3との違い・主な変更点

DM-3での主な変更点は以下の2点。

  • DM-3ではノイズ対策を重視し、BBD素子を低電圧タイプに変更
  • DIRECT OUT端子の追加

回路の構造などに特に大きな変更はありませんが、ディレイ回路の核となるBBD素子を低電圧タイプに変更し、ノイズ対策を強化。

また、原音のみを出力するDIRECTアウトプット端子を追加。

通常のアウトプット端子と併用することで、サウンドにより空間的な広がりを持たせることができます。

あとは冒頭で紹介したノブのデザイン変更くらいでしょうか。というのも、実はDM-3の開発の経緯が「 新機能盛りだくさんのニューモデル出そう! 」っていうバージョンアップのためではなく、この後解説する販売価格の調整にあったためです。

DM-3はDM-2を値下げするためのモデル!?

実は本機DM-3はDM-2の販売価格の調整、平たく言えば値下げするために造られたモデルです。

さまざまな経緯からDM-2の販売価格設定を24,800円から19,800円に値下げすることになり、「 それではDM-2を24,800円で買った人々がかわいそうではないか 」ということで、ニューモデルという形でDM-3を安く出して解決したわけです。

(実はデジタルディレイのDD-2とDD-3でも同様のことが行われています)

値下げに至った理由

まず値下げに至った理由の一つが、DD-2 Digital Delayの台頭です。

BOSS初のアナログディレイであるDM-2の発売から2年後、デジタルディレイであるDD-2が開発・発売されました。

今ではパーツの事情もありBOSSはディレイに関しては完全にデジタルの方へ舵を切っていますが、当時はまだ社内でも「 これからの時代、ディレイはアナログかデジタルか 」で決めかね、両方売ることにしていたそうです。

DD-2の販売価格は29,800円で、DM-2は発売当初から価格24,800円で販売されていました。

しかし当時はまだまだハイファイで高価なイメージがあったデジタルディレイであるDD-2と、アナログディレイのDM-2の価格差が5,000しかないのではDM-2が割高に感じられてしまうという危惧が。

そこへもう一つ、M-2の回路の要となる遅延素子の仕入れ価格が一気に下がったことも重なります。

当時まだこういった素子が出回り始めたばかりで高価だったのが、量産効果で価格がすごい勢いで値下がりしていたんです。

そのパーツ価格低下の還元も兼ねて、めでたく価格設定を19,800円にすることに決まりました。そして前述の通りすでにDM-2を購入したユーザーの心情を鑑み、DM-2とは別の機種としてDM-3とすることになったのです。

この目論見、大当たりでしたね。

本機DM-3にとっては残念なことですが、今ではDM-3よりもDM-2の方が人気なので、DM-2を所持している人は鼻が高いことでしょう。

DM-3 Delayレビュー・総評

なんだかDM-3のいいところはあまりなく、DM-2の株ばかり上げてしまったようですが……

しかし名機DM-2の流れを汲む機種でサウンドもよし、ダイレクトアウトもあって使い勝手も悪くないですし、BOSSで唯一のツマミノブを使用したという個性もありコレクションアイテムとしても決して悪いペダルではないかと。

なにしろアナログディレイの名機DM-2とデジタルディレイの名機DD-2に挟まれてしまったのが運のつきでした。

ちなみに販売期間は1984年から1988年と短命ですが、それは不人気が直接の理由ではなくDM-3に使われていた松下の遅延素子が1988年頃生産完了となったためです。

代替品を探してでも続けようと思えば続けることもできたかとは思いますが…

その頃にはデジタルディレイのDD-2が圧倒的な人気を誇るようになり、アナログディレイに見切りをつけてしまったのかもしれません。

もともとコンパクトエフェクターサイズにするのは不可能と言われていたデジタルディレイだったのに世界で初めて実現しちゃったもんだから、そりゃあ売れますよ、DD-2。

何度もしつこいようですが、DM-2とDD-2に挟まれてしまったのが運のつき、ってところですね。

販売期間・スペック・仕様

販売期間
1984年5月~1988年5月
製造国
日本製
コントロール
REPEAT RATE、INTENSITY、ECHO
接続端子
INPUT、OUTPUT、DIRECT OUT、ACアダプター
対応アダプター
ACA-100

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