BOSSコンパクトシリーズ初のアナログディレイ
DM-2 DelayはBOSSコンパクトシリーズの記念すべきアナログディレイ第一号機です。
というかそもそもBOSSコン初のディレイですね。
気になるディレイタイムは20m sec~300m sec。
2年半遅れで発売されたデジタルディレイDD-2 Digital Delayの最長800m secには見劣りはするものの、アナログらしいその暖かみのあるサウンドは非常に魅力的です。
ビンテージのBOSSコンパクトエフェクターの中でも人気のある機種です。
具体的にいえば、後継機種であるDM-3を差し置いてDM-2W 技クラフトシリーズとして復活したほどの人気。
DM-2 Delayのサウンド
アナログディレイであるDM-2のサウンドとなると必ず出てくるのが『 暖かく柔らかいサウンド 』という言葉。
しかしアナログディレイが持つ暖かく柔らかい音や雰囲気はもともと狙って作ったものではありませんでした。
DM-2が出た当時の技術力とアナログ遅延素子では、300m secもの長さで音を繰り返すディレイ音を作るには、かなり多くの周波数帯域を削る必要があったのです。
もともと、ディレイタイムを稼ぐために音質を犠牲にしていたんですね。
このディレイ音が劣化こそが、アナログディレイ最大の魅力である音の暖かさ、柔らかさの正体。
特に耳に分かりやすい高音の角が取れ、柔かくマイルドな音になったのです。結果オーライってやつです。
この音の変化はあくまでもただの妥協であり意図したものではなかったため、実際にそういう評判を受けBOSS開発陣も少し戸惑ったそう。
半面デジタルディレイは元の音を完璧にコピーし、音量を小さくしながらも減衰や劣化がなく完璧に再生できますが、これが嫌味な音として嫌味に感じるとか。
社外秘のためか具体的な情報はなく真偽の程は不明ですが、最近ではデジタルディレイを設計する際はこのアナログディレイの音の劣化をシミュレートして音を似せる、という手法が使われているそうです。
廃番になってしまったDM-2の遅延素子
ディレイの核のなるのは遅延素子とクロックドライバの二つのパーツです。
- 前期型がMN3005、MN3101のペア
- 後期型がMN3205、MN3102のペア
ここまでは突き止めたのですが、実はこれらは全部生産終了。実は管理人もアナログディレイが欲しくて、どうにかしてDM-2を自作しようと思ってみたことがありました。
が、上記の遅延素子に加えNE570というICも生産終了。手に入ってもプレミアで高いし、代替品探すのも面倒になって断念。
業クラフトシリーズ DM-2Wで復活
BOSS自身によるセルフモディファイである業クラフトシリーズのDM-2Wとして再登場。
パーツ集め・代替パーツ探しの面倒をかけてまでDM-2を自作をしなくてもよかったとなんとなく安堵しながらも、結局DM-2Wを買うお金が工面できずにいる管理人です。
でも、当時DM-2の販売価格が24,800円だったことを考えればそう高い買い物でもないのかも?
DM-2 Delay 総評・レビュー
BOSSといえばDD-2の発売時のインパクトもあつてデジタルディレイが有名ですが、アナログディレイの評判もかなりよかったんですよね。
BOSSコンパクトシリーズのアナログディレイは本機とDM-3 Delayの2種のみ。
しかし、人気度で言えば後継機種のDM-3よりも本機DM-2の方が人気があります。
先述の業クラフトシリーズに選ばれたのもDM-3ではなく本機DM-2ですし。
パーツの違いやオリジナルのDM-2のパーツの劣化具合などもあるため、厳密にオリジナルと同じ音を出すのは難しいかと思いますが、コレクション目的でもなく実戦で使うためのアナログディレイが欲しいのであれば、DM-2を探すより素直にDM-2Wを買った方が無難でしょう。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 1981年6月~1984年2月
- 製造国
- 日本製
- コントロール
- REPEAT RATE、INTENSITY、ECHO
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT、ACアダプター
- 対応アダプター
- ACA-100