BOSS初で世界初 コンパクトエフェクターサイズのデジタルディレイ
本機DD-2 Digital Delayは、BOSS初のデジタルディレイのコンパクトエフェクターです。
と同時に世界初のコンパクトエフェクターサイズのデジタルディレイでもあります。
当時はまだデジタルディレイをコンパクトエフェクターサイズで作るのは無理と言われていた時代。そんな中BOSSがいきなりDD-2を出したもんだから、エフェクター業界には衝撃が走ったそうです。
BOSSって無難で定番!みたいなイメージありますけど、世界初のオーバードライブであるOD-1 OverDriveといい本機DD-2といい、結構世界初なことをいろいろやってる革新児でもあります。
ただデジタルディレイをコンパクトエフェクターにしましたよ!ってだけじゃなく、HOLD機能・ステレオアウトなど機能面でも充実し、第一線で使うことも考えられています。
気になるディレイタイムは最短12.6m sec~最長800m sec。
BOSSの技術力の高さを世界に見せつけたと歴史的な名機と言えるでしょう。
デジタルディレイの名機DD-2 開発秘話
今では当たり前のように存在するコンパクトサイズのデジタルディレイですが、DD-2が出た1983年当時まではそうはいきませんでした。
技術的にまだまだパーツの小型化が進んでおらず、コンパクトエフェクターの筐体に収めるのが物理的に難しかったのです。
そのためデジタルディレイといえば大型のラック式エフェクターが主流で、そもそもまだデジタルディレイ自体出回り始めてそれ程経っていない頃。
デジタルディレイ=超高品位なプロ用機材というイメージでした。
そんな折、BOSSの親会社であるRolandがラックのデジタルディレイSDE-3000を造ってたんですよね。
このSDE-3000用に作ったカスタムICの全長が ” たまたま ” BOSSコンパクトシリーズペダルの筐体の横幅ピッタリだったので、「 もしかしていけるんじゃないかコレ 」と開発がスタート。
とはいえデジタルディレイのコンパクトエフェクターは今まで成し遂げたことのなかったことで、かなり苦労をしたそうです。
DD-2開発苦労エピソード
パーツを斜めにしてでも基板に収めろ
やはりサイズ的に色々無理があったようで、通常は縦向きか横向きかで並べる抵抗やらICやらも「 もうセオリーは考えず、斜めでもなんでもいいか基板内に収めろ 」とハッパがかけられたそう。
結局、従来通り縦と横で並べた方がスペース的に効率がよく斜めになることはなかったようですが、パーツを挿し込むための穴が多すぎて基盤の強度が心配されたレベルだったとか。
本機DD-2(もしくはDD-3)の裏ぶたを開けたことある方いらっしゃるかもしれませんが、パーツがズラリと並ぶ様はなかなか壮観です。
(静電気に弱いデリケートなパーツも多いので、開けてみるときは余計なところを触らないよう注意)
出来上がるまで部屋から出るな
当時若手の開発スタッフは、若いんだから体力あるだろう、ということで「 部品が全部入るまで部屋から出てくるな! 」くらいの勢いで開発部屋に詰め込まれたそうです。
多少のパーツ数と制約なら、基板の配置や道筋を考えるのもパズルみたいで楽しいんでしょうが…
DD-2はICの多いこと多いこと。ICって足が多い上に何番の足に何をつなぐかが厳しく決まっているから、制約が多いんですよね…
これなかなか辛い作業ですよ…
今の世ならドブラック会社のパワハラ案件ですね。ご苦労様でした。
名機なのに超短命な理由と後継機種DD-3
記念すべきコンパクトエフェクター初のデジタルディレイとしてあがめられる名機DD-2ですが、販売期間は3年弱と超短命。
発売から3年も経たずに後継機種のDD-3が発売されています。実を言うとDD-3、中身はDD-2とほぼ同じなんです。
DD-2の記録は伸びませんでしたが、そのDD-3がそのまま超ロングセラーとなった点を鑑みれば、DD-2の実力の程がわかるというものでしょう。
この辺りのお話はまた次回、DD-3の折にでも。
DD-2 Digital Delay レビュー・総評
デジタルディレイは技術の進歩によってどんどんディレイタイムが伸び、全体的に高品位になっていきます。
なので、実用として考えるとわざわざDD-2を買う必要はないかと。
DD-2と現行機を比べると、ディレイタイムがケタ1つ違うレベルですからね…
しかしDD-2は実用性はともかく、コレクションアイテムとしてはかなり人気度の高い機種です。
何せBOSS初どころか、世界初のコンパクトサイズデジタルディレイな歴史的なエフェクターですから。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 1983年12月~1986年8月
- 製造国
- 日本製
- コントロール
- E.LEVEL、F.BACK、D.TIME、MODE
- MODE
- S.50ms、M.200ms、L.800ms、HOLD
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT(MONO)、OUTPUT(STEREO)、ACアダプター
- 対応アダプター
- PSA-100