30年ぶりの日本製!?Roland・BOSS伝統の流れを組む名コーラスペダル
CE-2W Chorus – WAZA Craft – は往年の名ペダル、CE-2をBOSS自らモディファイし復刻させたコーラスペダルです。
CE-2自体にはCE-3やCE-5などの後継機種があり使い勝手は向上していますが、BOSSコンパクトシリーズ初であるCE-2の人気はかなりのもの。
この辺りの事情は技クラフトシリーズ中ものDM-2W Delayとも似ているように思います。
機能的なところや音色などについてはこのあと説明しますが、BOSSのコンパクトエフェクターとして特筆すべきは「 Made in JAPAN 」である点。
つまり「 日本製 」です。
1986年の年末頃より台湾へ工場を移して以来、BOSSコンは全てMade in TAIWANだったのが、工場移転から30年、本機CE-2Wで日本製のBOSSコンが復活しました。
BOSSの親会社Rolandの名を一躍有名にした名機の流れを組むコーラス
型番の通り、ベースモデルであるCE-2はBOSSコーラスペダルとしては2代目。この前に CE-1 Chorus Ensemble が存在しています。
そもそもBOSSの親会社であるRolandがここまで大きくなるキッカケは、JC120 ジャズコーラス、通称ジャズコの世界的大ヒットにありました。
エレキギターを持つ者であれば誰もが使ったことがあるといっても過言ではないジャズコは世界的に有名なMarshallやVOXのアンプとは違い真空管も入っていないトランジスタアンプ。
そんなジャズコがヒットした要因が、類まれなるその耐久性と、ステレオスピーカーから繰り出される圧倒的美麗さを持つコーラスの響きのおかげだったのです。
「 ジャズコーラス 」なんて商品名ですから、当然コーラスには相当こだわっていたのでしょう。
で、そんなジャズコのエフェクター部分、コーラスとビブラートをまるまるそのまま抜き出してエフェクター化したのが、CE-2の前身機種であるCE-1。
そこからビブラートを省き、われわれのよく知る筐体で純粋コーラスペダルとして出たのが件のCE-2ってなわけです。
CE-2の発売時のキャッチコピーが「 CE-1の半分お譲りします 」で、もう半分であるビブラートはVB-2として別に発売されています。
そんなわけでCE-2Wはかの名機CE-1の、ひいてはJC120のあのコーラスをそのまま引き継ぐ伝統直系のコーラスなのです。
CE-2W 技クラフトでの新機能
ステレオアウトに対応
先にもチラリと触れましたが、ジャズコのコーラスの最大の特徴はステレオ出力による空間的にな広がりのあるサウンド。
しかし本機CE-2Wのベース機であるCE-2は、ステレオアウト端子がなくモノラルでアンプ一台でしか音を出せませんでした。
いくら名機CE-1の直系とはいえ、やはり空間系のエフェクターはステレオアウトがないとその威力を発揮できません。
後継機種のCE-3 Chorusがステレオアウトに対応し、更にてめでたしめでたし…と思われましたが、CE-3はCE-3で人気がなくて世代交代の後でもCE-2の方が人気という。
(CE-3の不人気ぶりについて詳しくはコチラ)
そんなわけで、元々ステレオアウトのついたCE-3ではなく、人気のあったCE-2にステレオアウトCE-2Wとして技クラフトシリーズ化。
こうしてステレオアウト端子を手に入れたCE-2Wは、コーラスとしての唯一の弱点を克服したわけです。そしてCE-3は完全に立つ瀬がない状態に……
(ステレオアウトの音の出方を変えられる機能が)
カスタムモードとビブラートモード
これはペダルチューナーのTU-3Wを除く技クラフトシリーズ共通の機能なのですが、CE-2Wにもサウンドを切り替えるスイッチもついています。
しかし他の機種ではスタンダードモード(S)とカスタムモード(C)であるところが、本機CE-2Wにはカスタムモードはなく、CE-1モードとVibratoモードが搭載されています。
スイッチが一番左側はStandardモードで、オリジナルのCE-2と同じ音。
CustomモードにあたるCE-1モードはその名の通り名機CE-1の音を再現したモードです。
CE-2よりも深く音が揺れるコーラスサウンドで、きつい感じはなくどちらかといえばマイルドな音色です。
そしてもう一つ、スイッチつまみを一番右のポジションに切り替えるとCE-1のビブラートモードに入り、ビブラートペダルとしても使えます。
(これでは同じく技クラフトシリーズとして出たばかりのVB-2Wも立つ瀬が…)
これでベース機であるCE-2だけでなく、CE-1の機能も完全に網羅。
つまり、CE-2WはCE-2の復刻であると同時に、CE-1の復刻でもあるのです。
CE-2W Chorus 技クラフト レビュー・総評
というか、本機CE-2WはCE-2の皮をかぶったCE-1って感じ。
CE-2とCE-1ではどちらかと言えばCE-1の方が人気度は高いですし、実質CE-1の復刻版にCE-2のサウンドも入れたって感じ?でしょうか。
それだけに本機CE-2Wが発表された時にはなかなか驚きました。
(発売当時の記事はコチラ)
CE-1は筐体がかなり大きく重量もあり、実用性には少々欠けるので、BOSSコン筐体で出すのはグッジョブだと思います。
BOSSの象徴的なエフェクターともいえるコーラス、そして実質その代表的な機種であるCE-1の復刻版が日本製として蘇るのは、もう40周年に至るBOSSコンの歴史のそして工場が台湾へ移ってから30年目の節目に相応しいように思います。
(全部は無理にしても、もしかしたらCE-2W以外のペダルも今後ある程度日本製として登場するかも?)
こういったRoland・BOSSの伝統・歴史抜きに、ただ一つのエフェクターペダルとしてみても、CE-2Wは2つのコーラスだけでなくビブラートペダルとしても使えるかなり優秀なペダルなのではないかと。
ジャズコのアンプとしてのサウンドは硬いしあまり好きじゃないけど、あのコーラス・ビブラートエフェクトの音色は好き!なんて方の悩みを解消するにも最適なエフェクターかと思います。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 2016年8月27日~現行
- 製造国
- 日本製
- コントロール
- DEPTH、RATE、MODE
- MODE
- CE-2、CE-1(コーラス)、CE-1(ビブラート)
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT【A】、OUTPUT【B】、ACアダプター
- 消費電流
- 25mA
- 対応アダプター
- PSA-100