三種の神器・BOSS初のコンパクトエフェクター OD-1
OD-1 OverDriveはBOSSコンパクトシリーズのなかでも一番最初に発売された三機の内の一機。
(後の二機、SP-2 Spectrumは1バンドのパライコ、PH-1 Phaserはツマミ2つしかないフェイザー)
巷では三種の神器なんて呼ばれたりしますが、BOSS社内では信号シリーズなんて言われていたそうです。
この最初の三機が緑・黄色・赤と信号機の色だったからだとか。
OD-1はその三種の神器の中でも、最も汎用性が高く使い勝手の良いエフェクターと言えるでしょう。
世界初のオーバードライブ
オーバードライブはディストーションと並んで二大人気歪みエフェクターとしての地位を確立していますが、実はOD-1こそ世界初のオーバードライブです。
実は意外と知られていないのですが、1977年にOD-1が発売するまでオーバードライブなんてエフェクターはなかったのです。
OD-1はBOSSコンパクトシリーズ初の機種であり、世界初のオーバードライブでもある記念すべきモデルなのです。
そのためか、BOSSのオーバードライブにかける情熱は半端ではなく、多くの種類のエフェクターの中でも特に数多くの機種が存在しています。
回路(オペアンプ)やスイッチなどの仕様変更
OD-1の販売時期は8年程度とBOSSのコンパクトエフェクターとしては割とそんなもんか、といった程度。
ですが、その間に何回かマイナーチェンジがあり、回路には4つのバージョンがあると言われています。
初代と2代目にはクワッドオペアンプが使用され、3代目と4代目にはデュアルオペアンプが使用されました。
- クワッドオペアンプ期: 初代 RC3403、2代目 MPC4741 シリアルナンバー 6400~8800
- デュアルオペアンプ期: 3代目以降 4558系 シリアルナンバー8900以降
当然といえば当然ですが、このクワッドオペアンプの頃の物が今でももっとも人気があります。
ただ、特にRC3403はデリケートなオペアンプで壊れやすいんですよね。
状態のいいものがどれほど残っているやら…
その他スイッチ・銀ネジ・全角ハイフンなど変更点
回路の他にも色々と細かい変更があります。
まずは中にあるスイッチ。
ペダルをパカっと開けて電池の右側にあるスイッチが初期はスケルトン色でした。
後に現在と同じ黒に変更されています。
他、本体のOD-1という表記の「-」(ハイフン)が初期は全角で、後に半角になっています。
また、OD-1といえば銀ネジというイメージも強いかと思いますが、後期には黒のスクリューネジの個体も。
OD-1はクワッドオペアンプ・スケルトンスイッチ・全角ハイフン・銀ネジで役満で初期の個体と憶えておきましょう。
この辺りの写真、ネットには転がっていますが、さすがに勝手に使用するのはマズイので掲載は見送りました。
写真の提供などかなり助かります。どなたかご自身で撮った写真をご提供頂ける方いらっしゃればコメント欄までお願い致します。
※2016年1月2日 コメント欄よりご連絡を頂いたOD-1おじさん様より、RC3403ADB&スケルトンスイッチの超初期のOD-1の個体の写真を頂きました。
貴重な個体の写真をありがとうございました。画像は下記リンクよりご覧ください。
OD-1 OverDriveの音色
やや荒削りなところもありますが、倍音が豊かで暖かみのあるナチュラルな音色はさすがザ・オーバードライブといったところ。
ゲインは薄めながら中音域がかなり強く、粘り強い存在感があります。
今では当たり前のようにTONEツマミがついていますが、OD-1にはまだありません。
というのも、オーバードライブのサウンド自体が非常にナチュラルで、ピッキングニュアンスやギターのボリュームで十分に歪みの質をコントロールできると判断したためとか。
さすがにみんながみんなそこまでうまくはないので、結局はオーバードライブの後継機種にはみなTONEツマミがつきましたけどね。
しかし、当時歪みといえば激しいファズが主流の時代だったため、ゲインが浅いオーバードライブは、当初社内でもかなり酷評されたとか。
それでもこれだけ流行ったのは単体で使った時のナチュラルな歪みの音が思いのほか受けただけでなく、ブースターとして使った時のサウンドが魅力的だったというのも要因の一つとしてはずせないでしょう。
本機OD-1以来、BOSSのオーバードライブはどの機種もブースター要員としてもかなり重宝されています。
ただ、OD-1はトーンがない分サウンドバリエーションにはやや難があり、音も荒削りなところがあるため、最新の音楽シーンに合わせるのは少々難しいところ。
ですが、その素朴な感じがまた魅力的でもあります。
その飾り気のないナチュラルな音は往年の名曲を演奏したり、渋い感じを出すには雰囲気もぴったりですね。
特にジェフ・ベックをやるには欠かせませんね。
ボリュームとゲインのみのシンプルなレイアウトで使いやすさ満点ですね。
個人的にはまだまだ現役として全然通用するサウンドかと思います。
BOSS OD-1 OverDrive 総評
OD-1は発売後ジェフベックが愛用したことにより人気に火が付き、1985年にOD-2 TURBO OverDriveと代替わりするまで広く愛されました。
今日でも最もメジャーなビンテージエフェクターと言えるでしょう。
楽器屋や中古専門店などを何軒か回っているとそれなりに見かけることができます。
ただ、実戦で使う分には別段OD-1にこだわる必要はないでしょう。
より造りこんだ設計のBD-2 BluesDriverや、OD-3 OverDriveもあれば、ノイズに強いデジタルオーバードライブの機種も増えています。
OD-1と同じ構造の回路にトーンをつけただけのSD-1 SUPER OverDriveもまだ現役ですし。
が、やはりOD-1にはOD-1にしかない、名機としての唯一無二の存在感と魅力があります。
もし見かけることがあったら、臆さずぜひ一度試してみて頂きたく、また現ユーザーの皆さんにはぜひぜひ大切に使っていただきたい名機です。
※2017年7月17日追記
BOSSコン生誕40周年記念として、BOSSコン最初の3機種SP-1 Spectrum、PH-1 Phaser、OD-1 OverDriveの三機種を復刻させた限定復刻プレミアムボックスの発売が発表されました。
全世界1500セット限定で2017年8月26日発売。
価格は97,200円と高価ながら人気のOD-1、プレミアのついているSP-1のの初復刻ということでそれなりの早さで動いた模様です。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 1977年11月~1985年7月
- 製造国
- 日本製
- コントロール
- LEVEL、OVERDRIVE
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT、ACアダプター
- 対応アダプター
- ACA-100