名機OC-2を超えた “スーパー” なオクターバー
世界初のポリフォニックオクターバーとしての機能を持っており、また前身機種であるOC-2 Octaveを内包するOC-2モードも搭載し、まさしくスーパーと名乗るに相応しい機種となりました。
なお、アナログオクターバーであるOC-2に対し、後継機種たるOC-3 SUPER Ovtaveはデジタル設計のオクターバーとなっています。
さて、デジタルならではの新機能も含め、詳しく解説していきましょう。
OC-3 SUPER Octaveの新機能
最大の特徴 ”ポリフォニックオクターバー”
OC-3の最大の特徴は、新しく搭載されたPOLYモード(ポリフォニックモード)でしょう。
ツインペダルシリーズのOD-20に搭載されたオクターブ下に音を加える回路(要はオクターバー回路?)の技術を応用したスーパー機能です。
ポリフォニックとは和音、つまりコードという意味です。
一時、1弦ずつではなく6弦全部のチューニングを一度に見れるポリフォニックチューナーなんて流行りましたね。
ギターの弦を1弦ずつではなく、6弦を同時に鳴らしてもすべて別々に検出して一度に音程の状態を表示し、同時にチューニングが可能な優れものです。
スーパーオクターバーのこのポリモードでは和音、つまり複数の弦を同時に弾いてもきちんと追従し、その全てにオクターブ音を加えてくれます。
OC-2は基本的に単音のみの対応だったのでこれは大きな進歩。
唯一の弱点はポリモードでは1オクターブ下の音しか加えられない点でしょうか。さすがに6弦分の音を全部検出して1オクターブ下と2オクターブ下の二つの音を同時に作り出して出力するのは処理が間に合わないんでしょう…
しかしレンジコントロールでオクターブ音をかける帯域を指定することも可能で、低音にのみオクターブをかける、なんて設定も可能なので、音作りの幅がかなり広がること請け合いです。
謎の歪みとドライブモード
歪みも加えてみたら非常に面白い音がしたということで、オクターブ効果に加えて歪みがかかる入ったドライブモードも搭載されました。
音が歪みにくく原音に近いまま出る回路がが売りだったBOSSのオクターバーに、あえて歪みを加える…
あえてね。
BOSS△ーーーッ!!!
さすがスーパーです。ソコニシビレルアコガレル。
ちなみに、GUITAR IN の時と BASS INの時とでちゃんと歪み方・音が変わる親切設計です。さすがBOSS。
開発に携わった山田さんいわく
「 DRIVEモードにどの歪み系モデルをベースにしたのか、ちょっと思い出せないんですよ。ごめんなさい(笑) 」
だそう。BOSSのいずれかのオーバードライブがモデルであることは間違いなさそうなのですが。
BASS専用端子と、DIRECT OUTの追加
もともとオクターバーはベースでもよく使われるエフェクターで、実際前作であるOC-2もギタリストのみならずベーシストからもかなり人気がありました。
そのため、本機OC-3にはベース用の専用インプットとしてBASS IN端子を追加。
ベースで使う場合はこちらに突っ込めば、全体の周波数定数がベースに最適化された状態になります。
エフェクターって基本的によく使う楽器の周波数に合わせて定数を決めており、エフェクトのかかる帯域だけでなくツマミの効き具合なんかも全然変わってくるものです。
実際ドロップチューニングや8弦、9弦ギターといったものを使う変態さんはこういったベース用としても使えるエフェクターがオススメです。
ただ、常識にとらわれずあえてギターをBASS INに突っ込んだり、ベースをGUITAR INに突っ込んだりも面白いかも知れませんね。
音楽は自由です。何しても最終的に出た音が良ければそれでいいんです。
また、新しくダイレクトアウトも搭載され、ドライ音(原音)とオクターバーがかかったエフェクト音とを別々に出力することも可能です。
コレを使って、例えば原音に歪みだけをかけてアンプから音をだし、それと別に歪んでないオクターバー音を出すなんて芸当も。
ステレオアウトってセッティングが面倒だからかみんなあまり使いたがらないんですケド、音作りの幅が広がって結構面白いですよ。
デジタルならではのサウンドとピッチ検知精度・スピード
特にポリモードでは1弦ずつのピッチの検出やエフェクトにかなり複雑な処理を施しているはずですが、特にタイムラグも感じずストレスフリー。
音も非常にナチュラルに仕上がっています。
もしかしたらオクターバーのクセの強さに隠れてそう感じるだけかもですけど、それはそれで結果オーライ。
ただ、前の機種のOC-2を再現したモード(公称 互換モード)である本機OC-3のOCT 2モードでも、やはり実機のOC-2とはなんか違って感じるんですよね。
音の太さ・音がダイレクトに前に出てくる感はOC-3よりもOC-2の方が強く感じるような。音痴でアナログびいきな管理人の気のせいかもしれませんけど。
OC-3は電池食い虫・アダプター推奨
これはデータとしてハッキリ表れているのですが、OC-3の消費電流は50mAとかなり大きいです。
電池食い虫のDD-3 Digital Delayが55mA。デジタルディレイに迫る勢いですね。内部で相当頑張って音を処理しているのでしょう。
電池ではなくアダプターやパワーサプライでの使用をオススメします。
なお、前作のアナログオクターバーOC-2はたったの4mAで、OC-3はその12.5倍もの電流を消費する計算です。
OC-3 スーパーオクターブ レビュー・総評
BOSSのオクターバーには本機 OC-3 スーパーオクターブ か前の機種である OC-2 オクターブ のとちらかしかありません。
ただ、この二機種は根本的にデジタルかアナログかの違いがあります。
後継機種であるOC-3はOC-2を内包した上で、新機能としてポリフォニックオクターバーとしての機能や歪みサウンドを加えるドライブモードも加わり、より多機能なオクターバーとして使用可能。
OC-2は中古で安く手に入りますし、こちらの方がアナログで音が太いともっぱら評判。
(もちろん、アナログ派のデジタルアレルギーによる錯覚かもですけど)
ちょい使いであれば中古で安いOC-2を探すもよし、多機能さでOC-3を選ぶもよし、両方試してみて音で選ぶもよし…
OC-2もOC-3もオクターバーペダルとしては完成度はかなり高いので、自身の使い方に合わせて選ぶとよいでしょう。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 2003年8月~現行品
- 製造国
- 台湾製
- コントロール
- MODE、DIRECT LEVEL、OCT 1 LEVEL、RANGE
- MODE
- DRIVE、OCT 2、POLY、RANGE
- 接続端子
- GUITAR IN、BASS IN、OUTPUT(MONO)、DIRECT OUT、ACアダプター
- 消費電流
- 50mA
- 対応アダプター
- PSA-100