リニューアルで生まれ変わったベース専用リミッター
LMB-3 Bass Limiter Enhancerは大ヒットしたLM-2Bの後継機種として登場したベース専用リミッター・エンハンサーペダルです。
前身機種であるLM-2B Bass Limiterはエンハンサー機能を搭載しながらもモデル名には明記していませんでしたが、本機LMB-3はモデル名がBass Limiter Enhancerとなり、エンハンサーの名が明記されました。
LMB-3登場の経緯
前回LM-2Bの記事でも解説したとおりLM-2Bはかなりのヒットを見せましたが、5年も持たず廃盤に。
この時期にBOSSのベース専用コンパクトエフェクターシリーズが全てリニューアルになったためです。
このリニューアル自体は「 ベース専用機もギター用と同じようにカラフルに! 」という声に答えるためでしたが、ただ色を変えるだけで終わらないのがBOSS。
「 どうせ変えるならマイナーチェンジじゃなくて、全部リニューアルしてアップグレードしちゃえ! 」
ということで、本機LMB-3にアップグレード。大ヒットしていたエフェクターでも、ユーザーのためとあらば惜しげもなく廃盤・リニューアルする。
手を抜かないBOSSらしい大胆な判断で、好感が持てます。
RATIO(レシオ)ツマミの追加とエンハンサーのアップグレード
前身機種であるLM-2BからRATIO(レシオ)コントロールツマミが追加され、リミッター効果を更に細かく調整可能に。
これによってベースのピック弾き、指引き、スラップなど多彩な演奏スタイルによりきめ細かく対応できるようになりました。
また、エンハンサーも効果のかかり方とかかる周波数帯域をよりベースに合わせてに見直し、更に音抜けがよくシャープなサウンドにし、リミッター効果によって埋もれがちなサウンドに存在感を与えます。
LMB-3 ツマミの働きと効果
本機LMB-3のコントロール部、LEVELとENHANCEはともかくRATIOとTHSHDなんてツマミ、見慣れない方も多いかと。
というわけで、LMB-3のコントロールツマミの働きと効果について一通り解説しておきます。
LEVEL(レベル)ツマミ
LEVELはLMB-3オン時の音量を調整するツマミです。
ベースリミッター・エンハンサーがオンの時とオフの時とで音量差がないように調整するのが基本ですが、あえて音量差をつけて使い分けることも可能。
例えば普通に音を出していて、音に存在感を出したい時だけ音量が持ち上がるようにするブースターペダル的な使い方も可能。
エンハンサー効果と合わせて、かなり存在感のあるサウンドを演出することも可能です。
ENHANCE(エンハンス)ツマミ
ENHANCEはエンハンサーの効き具合を調整するツマミです。
右に回すほどエンハンス効果が強くなり、音抜けが良くシャープで存在感のあるサウンドに仕上がります。
RATIO(レシオ)とTHSHD(THRESHOLD=スレッショルド)ツマミ
RATIOとTHSHDはリミッターのかかり具合を調整するツマミです。
まずTHSHDでどの程度の入力レベルからリミッターがかかるかを設定します。
そして、RATIOはTHSHDで決めたレベル以上の入力信号を、どれほど抑えるかを決めるツマミです。
ちょっとわかりづらいかもしれませんが、RATIOでは1:1~∞:1までの調整が可能で、右に回すにつれて徐々に信号を強く抑えるようになり、∞:1ともなるとTHSHDで決めたレベル以上の入力信号はガッツリベッタリ抑えてくれます。
これによってより奏者の好みでリミッターのかかりを調整できるようになりました。
なお、1:1ではリミッターはかからないので注意。
反対に言えば、あえてリミッターはかけずにエンハンサーだけ使いたい時は1:1にセッティングすると良いでしょう。
LMB-3 ベースリミッター・エンハンサー レビュー・総評
ベース用のリミッター・エンハンサーは本機LMB-3がリミッターの最新機種にして現行品です。
当然新品で手に入るため入手しやすいですし、リミッターが欲しいという方にはちょうどよいのではないでしょうか。
本機LMB-3はリミッターが欲しいベーシストにかなりオススメできる優秀なリミッターペダルです。
リミッター効果によって失われがちな存在感を引き立ててくれエンハンサー機能もつけたりと色々と練られていて、かなり実戦的なんですよね。
しかし、ギターで使いたいという方にはちょっと迷うところですね…
管理人も試してみたわけではありませんが、LMB-3はベース専用として周波数帯域が下げられているため、ギターではリミッターやエンハンサー効果が正常に得られない可能性が高いです。
エンハンサー機能はついていませんが、ギター用として開発されたLM-2を探すか他社の機種を探した方が良いでしょう。しかしリミッターにしてもエンハンサーにしても、効果としてはかなり薄いんですよね。
1音1音の強弱の比重が大きいベースでは定番エフェクターとしてかなりよく使われていますが、率直なところギターでそこまで必要かと言われれば微妙なところ。
似て非なるエフェクターではありますが、音を整えるにはコンプレッサー、存在感を発露にはグライコを使った方が無難なのではないかと。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 1995年2月~現行品
- 製造国
- 台湾製
- コントロール
- LEVEL、ENHANCE、RATIO、THSHD
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT、ACアダプター
- 消費電流
- 17mA
- 対応アダプター
- PSA-100