共に奏でます、ツインギターのハーモニスト
HR-2 ハーモニストは、その名の通りギターのハモリに特化したピッチシフターです。
入力したピッチを検出し、設定したキーに合わせてピッチシフトを行うインテリジェントピッチシフター機能を搭載しており、同時期に販売されていたPS-3やその前の機種であるPS-2とはまた違う方向性を目指しています。
具体的に言えばPS-3では5度のハーモニーやオクターブはつけられましたが、3度のハモリはつけられなかったんですよね。
これに対して本機HR-2では原音の±3度~6度 or ±1オクターブの範囲内自由にハモリを設定し、2声まで重ねることが可能です。
そのうえ上昇するフレーズと下降するフレーズとではハモリ方が変わるなどかなり凝った回路になっており、音楽的にも非常に有用で面白いピッチシフターです。
X Japanもアングラも一人でできちゃうインテリジェントピッチシフター
管理人の文章力でインテリジェントピッチシフターとはなにか、なんてくどくど説明してもわかりにくいでしょう。
一言で言ってしまば、X Japanもアングラもドリームシアターもオジー・オズボーンも、あの珠玉のツインギターソロを一人でできちゃうんです。
しかもアナタ自身のプレイをそのまま追従してくれますから、突然思いついたアドリブも完璧にハモってくれます。
ピッチの甘いチョーキングも完璧に合わせてピッチの甘いチョーキングをしてくれますし、なんならミスしても全く同じタイミングで全く同じミスをするので、ミスったっぽく聴こえない。
まさに人間業じゃない。(っていうか人間じゃない)
(ツインギターの)人間関係に疲れたアナタ!に結構いいペダルじゃないかと思いますよ、ウン。
ディテクターインプットとは?
通常のインプット端子の横に付けられたディテクターインは、エレキギターから入力されたピッチを正確に検出するための専用の端子。
というのも、実は本機HR-2の前に他のエフェクターを繋ぐと正確にピッチが検出できない場合があるのです。
特にディストーションなど深く歪むペダルで顕著。
ディテクターインプットそのような場合のためのピッチの検出専用端子なのです。
具体的な使い方としては、エレキギターの出力をパラレルで分岐させ、一方は通常通りエフェクターに繋ぎ、本機HR-2のインプット端子を通ってアンプへ。
もう一方をディテクターインプットに直で繋ぎます。サウンドのラインとは別に原音を本機ハーモニストに入れることで正確なピッチを検出するというワケですね。
なおディテクターインはハーモニスト内で閉じたラインになっており、繋いでもアンプから音は出力されません。
ピッチがズレる弱点有り?
ちなみに、本機HR-2、微妙にピッチがズレるという弱点があるという噂が…
もしかしたらデチューン機能のせいかも知れません。
デチューン機能とは、あえて原音に対して微妙にピッチをズラして重ねることでコーラスのような音の広がりの効果を得る機能なんです。
いずれにしても、生音でよーうく聞いてみるとそんな気もしなくもなくもなくもないかなぁってくらいな微妙な感じもあったかも知れないかなぁ。
でもこの程度のことを気にしてたら、チューニングやらオクターブ調整やらチョーキングの微妙なピッチズレで気が狂ってギターなんてやってらんないと思います。
もし気になるって場合は、音を歪ませるという解決策もあります。
ディテクターインを搭載した原因である歪み系エフェクターを繋ぐとピッチが曖昧になってしまう現象を逆手に取るってわけです。
生音で使いたいって人は、知らん。
HR-2 ハーモニスト レビュー・総評
本機HR-2は正直なところ、同時期に発売されていたPS-3に比べあまり売れませんでした。
使い方に何かと面倒が多く音楽の理論的な知識も必要なペダルなんですよ。
先に演奏する曲のキーまでKEYツマミで設定しておく必要がありますし、繋ぎ方によってはエレキギターの信号をパラレルに分けてディテクターインプットを使う必要があるし。
またキーやハモリの設定のためにある程度知識がないといけないですし…
もともとピッチシフター自体知識や手間が必要なペダルではありますけど、本機HR-2は他に輪をかけてですね。
しかもPS-3は最長2000msまでのデジタルディレイ機能までついててピッチシフターとして使わずともツブシがきいたんですけど、本機HR-2はピッチシフト機能しかありませんでしたから。
音楽的にも機能的にもかなりスゴイペダルであることはことは間違いないんですけどね。
かく言う管理人音に厚みが欲しいとかって言って買ったはいいものの、ぶっちゃけ面倒くさくてそんなに使わずにお蔵入り → 手放しコンボ。
なお、そのHRシリーズ自体は本機今後出なくなりますが、その機能はPS-5以降のPSシリーズに統合されています。
ハーモニストというモデル名もPS-6に引き継がれました。
実戦で使うことを考えれば、PS-6かPS-5辺りを探した方が無難でしょうね。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 1994年12月~1999年1月
- 製造国
- 台湾製
- コントロール
- E.LEVEL、VOICE A、VOICE B、KEY
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT【A】、OUTPUT【B】、DETECTOR IN、ACアダプター
- 消費電流
- 75mA
- 対応アダプター
- PSA-100