DS-1につぐBOSSディストーションペダル2機種目 HM-2
HM-2 Heavy Metalは、1983年10月に登場したBOSSコン初のメタル系ディストーションペダルです。
今ではBOSSでも数あるメタル系ディストーションですが、その開祖は本機HM-2。
そして意外なことに、本機HM-2はBOSSのディストーションペダルとしてはまだ2機種目。
メタル系ディストーションっていうと新しそうな気がしますけど、実はBOSS初のディストーションペダル DS-1 Distortionの次には本機HM-2 ヘビーメタルが出ています。
かなり初期の段階からメタルディストーションを造っていたんですね。
HM-2のヘビーメタルサウンド
OD-1 OverDriveで公表を博した非対称型クリッピング回路を昇華させた回路を組み込んでいるとかで、ヘビーな歪みながらダイナミックレンジが広く音やせの少ないサウンドを実現しています。
沈むような深い歪みならではのロングサステインと大型アンプのような音圧が魅力的ですね。
発売当時である1980年代、音楽シーンではヘビーメタルが流行っていました。とはいってもまだヘビーメタルというジャンル自体が真新しく、今のようにメタル向きの器材なんてほとんどない時代。
当然アンプにもメタル用なんてなく、みんなMarshallアンプをフルゲインで使っていたんです。
そこにBOSSが目をつけ、マーシャルアンプのフルアップサウンドをペダル化したのが、本機HM-2のサウンドなのです。これが見事にヒットし、当時バカ売れ。
マーシャルのサウンドを再現するため波形レベルで分析してもなかなか難しかったとかで、かなり苦労しました。
特に高音域の歪みと原音の分離感を再現するのがかなり難易度が高かったようだったようですが、最終的にはそこをボリューム回路ような構造で組んだら持ち上げてもフィードバックせず、うまくいったのだとか。
ちなみに中央二つのCOLOR MIXのL、Hのツマミはそれぞれ低音域(Low)と高音域(High)のトーン回路。
12時の位置でフラットで、COLOR MIX Lは100Hz周辺のブースト・カット、COLOR MIX Hは1KHz周辺のブースト・カットを行います。
このトーン回路のおかげで音作りの幅も広く、後に大ヒットしロングセラーペダルとなるMT-2 メタルゾーンの基礎はHM-2でもうすでに出来上がっていたと言ってもよいでしょう。
HM-2 ヘビーメタル レビュー・総評
発売当初はかなりのヒットをみせた本機HM-2ですが、残念ながら流行りの音は移ろいゆくもの。
特にメタル系のサウンドは今と当時とではかなり違いますからね。
ヘビーメタルなんてネーミングではありますが、最近のメタルサウンドとは全く別物なので注意。
1980年代のヘビーメタルサウンドなんてかなり狭い分野に特化したディストーションペダルのため、現在ではあまり人気がありません。
出荷台数は多かったのもあってそこまでレアでもなく、あまり価格も上がっていません。
しかし80年代のヘビーメタルが好きな人はぜひ手に入れておきたい機種ですね。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 1983年10月~1991年10月
- 製造国
- 日本製・台湾製 両方あり
- コントロール
- LEVEL、COLOR MIX、DIST
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT、ACアダプター
- 消費電流
- 10mA
- 対応アダプター
- ACA-100