方向性を転換したBOSSファズの二機目
FZ-3 FuzzはFZ-2 Hyper Fuzzに続き発売された、BOSSコンファズの第2号機です。
海外のファズのサウンドを研究して反映したり、コントロールは全体的にシンプルにしたり…
前機種のFZ-2の反省を活かしたモデルでファズとしてはなかなか優秀な機種、だったように思いますが…
FZ-3の方が旧機種?と思うほどのシンプル化
本機FZ-3と前身機種であるFZ-2を並べてみたら、まるでFZ-2の方が後継機で本機FZ-3の方が旧機種の様に見えるのではないでしょうか。
旧機種であるFZ-2のネーミングは ” Hyper Fuzz ” 、つまりハイパーファズ。なんだかスゴそうな名前。
それに対して本機FZ-3はネーミングはただの ” Fuzz “。シンプルにファズです。
” スーパーファミコン ” の後継機種がただの ” ファミコン ” と言っているようなもんです。
しかもツマミの数も FZ-2の4つ(実質5つ)に対してFZ-3は3つに減っています。
そのためパッと見だとFZ-3よりもFZ-2の方が後継機種みたいに見えちゃうんですよね。
それくらいFZ-3は徹底的にシンプル化が図られています。
なぜそんなよくわからんことになったかと言うと、一言で言えばFZ-2がファズペダルとしての評判があまりよくなかったから。
そもそもファズって豪快で迫力な音をドッカーンって出すのが醍醐味のエフェクターなのに、FZ-2細かくコントロールが出来る優等生すぎたんです。
これがディストーションだったら「 へぇ、色々な音出せるんだ。スゴイじゃん 」とも思えたんでしょうが…
(ちなみに、FZ-2同様2軸ポットを使用し細かい音作りができるディストーションペダルMT-2 Metal Zoneは大ヒット)
ファズ好きからみたら「 しゃらくせえ!ファズってのはそういうもんじゃねぇバーロー! 」って感じだったのでしょう。
しかもFZ-2は国産ファズサウンドを狙った音で、特に海外からの評判があまりよくなかったのです。
普通ファズって言うとファズフェイスとかの音をイメージしちゃいますからね。
これらの反省を活かし、FZ-3は
” コントロールはシンプルにして、海外製ファズのサウンドを目指す “
ってコンセプトになりました。
FZ-3 Fuzzのサウンド
そんなわけで、本機FZ-3ではFZ-2 ハイパーファズのハイパーな部分 = モードツマミと2バンドイコライザーを廃止。
LEVEL・TONE・FUZZとかなりシンプルなコントロールに。(FUZZはゲインを調整するツマミ)
見た目もシンプルでBOSSらしい3つ目のレイアウトになってスッキリ、ついでにネーミングもわかりやすくFuzzになりました。
機能を減らすなんてなかなか思い切ったことをしましたよね。しかしただ劣化したものをBOSSが造るわけがありません。
FZ-3では高音質化、とりわけ低ノイズ路線を狙い、オペアンプを使わないディスクリート回路で設計することによって、音質の向上を図っています。
エフェクターとしては退化したようにも見えても、小手先に頼らないファズらしく豪快な正統進化とも言えるでしょう。
が、やはりBOSSらしい優等生感はなんとなくぬぐえません。
っていうか、ファズなんてノイズ乗っかってなんぼってものなのに、そこでノイズ減少を狙っても…うーん。
もともとファズは古いものが多く、オペアンプを使った機種は少ないですから、ディスクリートにしたこと自体は間違いではないと思いますが。
なお、TONEは他の歪み系ペダルのトーンツマミとは違い、FUZZにありがちな個体差をシミュレートするためのツマミになっています。
FZ-2 Fuzz 総評 結局は短命
ファズとしての高みを目指すため機能を減らすなんて思い切った判断がなされたFZ-3でしたが、残念ながら販売期間が2年に満たないというかなり短命な結果に…
前機種FZ-2の反省を盛り込んで改善したはずなのに、むしろ更に短命になってしまいました。。
ファズはダーティーな音と暴れちゃって扱いづらいところが魅力なのに、扱いやすい優等生として評判が高いBOSSが「 ファズ造ったよ~ 」って言ったってあまり受けないのは仕方がないのかもしれません。
結局、ファズが欲しい人ってファズっていうエフェクトの音が欲しいんじゃなくて、憧れのミュージシャンが使ってたあのファズの音が欲しい人がほとんどですから。
いまだにファズフェイスとかオクタヴィアとかが人気なのがいい証拠。
だからこそFZ-3の後継機種でありBOSSコンファズの現行品であるFZ-5 Fuzzはそれなりの評価を得て、今のところ廃番になりそうな気配はないわけですが…
(ちなみにFZ-4は欠番のため、FZ-5がFZ-3に続くファズ3機種目)
それはまた別のお話ですね。ちなみに、更に後継機種として出たFZ-5はBOSS独自のデジタル技術であるCOSM使用したデジタル機となりました。
なので、アナログファズが欲しい場合はBOSSのFZ-2か本機FZ-3を選ぶしかないのが現状です。
アナログファズは名機が多いので、わざわざBOSSを選ぶ人もそういらっしゃらないとは思いますが…
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 1997年2月~1999年1月
- 製造国
- 台湾製
- コントロール
- LEVEL、TONE、FUZZ
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT、ACアダプター
- 消費電流
- 6mA
- 対応アダプター
- PSA-100