MODEツマミの追加で進化したPH-2 SUPER Phaser
BOSSのフェイザーは、前機種のPH-1Rですでに一応の完成を見ていました。
が、そこで満足しないのがBOSS。
本機PH-2 SUPER Phaserでは新機能としてMODEスイッチを搭載。
型番上ではPH-2ですが、PH-1との間に改良版のPH-1Rがあるため、BOSSコンパクトエフェクターのフェイザーとしては3機目となります。
新機能 MODEスイッチ
最大の特徴は新たに追加されたMODEスイッチで、MODE1とMODE2を切り替えることができます。
MODE1は従来通り4段フェイザー回路ですが、MODE2ではなんと12段ものフェイザー回路を搭載しています。
まさにスーパーですね。
12段ともなるとパーツ数が膨大になるため当時はまだラックエフェクターか、ある程度筐体の大きいペダルエフェクターでもない限り回路を収めることはできませんでした。
しかしさすがはBOSS、それを当たり前のようにコンパクトエフェクターの筐体に入れて見せました。
Rolandがシンセサイザー用に開発したVCFのカスタムICを利用することで実現。
(と言うとデジタルかと思う人も時折いますが、アナログ設計です。)
他ではなかなか真似できない所業ですね。
こういうところにも、Roland・BOSSの高い技術力が活かされているんです。
PH-2のサウンド
MODE1は従来の4段フェイザー回路で、さわやかなうねりサウンド。
MODE2は12段の回路で深くスムーズなフェイズシフト効果を得られます。
基本的にフェイザーは回路の段数が多い程、深くきめの細やかな音になります。
さすがのBOSS、いい音してますよ。
ライバル社MXRのPHASEシリーズに負けじと心地良いフェイズサウンドを出してくれます。
しかも一台で2台分。素晴らしい。
RATEによるスピードコントロール
RATEによる揺れのスピードは、最低速で14sec / 右に回し切った最高速で100ms。(それぞれ14秒 / 0.1秒)
PH-1やPH-1Rは最低速が16秒だったので、低速側が2秒短くなり設定の幅が若干狭まっています。
最低速域なんて普通はそうそう使わないし、実用域では不便は感じないとは思いますが…
けだるい感じを出すために少しでもゆっくりとしたうねりが欲しいというのであれば、SUPER Phaserは向かないと言えます。
PH-2 SUPER Phaser総評
BOSSらしいザ・フェイザーって感じの音も良し、直感的で使いやすい点も良しですが、やはり素晴らしいのはMODEスイッチですよね。
1台のエフェクターにフェイザー2台分のキャラクターが詰まっているわけです。
これは当時非常に画期的でした。スーパーフェイザーを名乗るにふさわしい機能です。
このあと、後継機種のPH-3 Phase ShifterではMODEスイッチが更にパワーアップし、タップテンポ機能など使い勝手も全体的にパワーアップしますが、デジタル設計となります。
アナログ機のフェイザーはPH-2が最後ですので、アナログにこだわりがある方やデジタルの音があまり好きでない方にはPH-2をオススメしたいところ。
しかし、正直フェイザーに関してはアナログでもデジタルでもサウンドにディストーションなど歪み系ほどの違いはありません。
実用性で考えれば現行機種のPH-3の方が使い勝手、ノイズの少なさ、サウンドバリエーションなどあらゆる点で優っています。
特にこだわりがなければ中古のPH-2を探すよりもPH-3を購入した方が無難でしょう。
販売期間・スペック・仕様
- 販売期間
- 1984年9月~2001年3月
- 製造国
- 日本製・台湾製 両方あり
- コントロール
- DEPTH、RATE、RES、MODE
- MODE
- I、II
- 接続端子
- INPUT、OUTPUT、ACアダプター
- 対応アダプター
- PSA-100・ACA-100 両方あり